中山 たからさん 23歳
Profile
取手市出身。 茨城県立取手第一高等学校卒業後、保育の実務を学ぶために東京成徳短期大学に進学。卒業後は幼稚園で勤務。現在は、保育園で保育士として勤務中。
『大きくなったら何になりたいですか』。小さいころによく聞かれたこの質問。『漫画家、アイドル、ケーキ屋さん…』。ワクワクしながらそう答える人も多かったはず。でもその夢を叶えることは実はとっても大変だということを、大人になってから知らされることもあります。そんな中で、「子どもが好き」という想いを中学のころに抱き、保育士というかたちで現在夢を叶えて働いている中山さん。そんな中山さんに、好きなことを仕事にするやりがいをお伺いしました。
夢の始まりは中学生のときから 最短距離で学び続けた
中山さんは現在都内の保育園で保育士として働いています。今のお仕事との出会いは中学のころに行った職場体験。子どもたちが楽しそうに遊んでいる姿をみて『ここで働きたいな』と思ったことがきっかけです。高校に進学してもその気持ちは変わらず、卒業後は都内の短大に進学することを決意しました。
「保育士を目指す友達は茨城で就職する子が多かったのですが、私は自立したいという気持ちが強く、また、自分の視野をもっと広くしたいと考えていました。なので都内の大学に進学することはすぐに決まりましたね。
ちなみに、幼稚園や保育園の資格にはいくつか種類があって、4年制の大学へ進学すれば将来指導者になるときに便利なんですよ。保育士としてのキャリアは広がりますよね。でも私の場合は、大学へ進学して4年間という時間で学びを深める、という学校生活よりも、早く実践を積んで一人前になろう。そんな想いが強く、結果的に短大を選びました。」
念願の保育士デビュー 好きなことに時間をさけない 日々が続いた
大学卒業後は幼稚園に就職し、念願の先生として働き始めましたが、そこで初めての試練が訪れます。職場の人との人間関係がうまくいかず、自身と葛藤する日々が続いたのです。
「最初は自分が新卒だから仕事ができないのだと思っていました。何をするにも先輩からの許可が必要で、気をつかってばかり。時間がたてば少しは良くなると思っていたのですが、毎日先輩からの説教が続き、『なんで自分は仕事ができないんだろう』と悩むようになりました。一番辛かったのは園児から『なんでたから先生はいつも怒られているの?』と聞かれたことです。子どもと接するのはとても楽しいのに、なんで子ども以外のことでこんなに疲れるしかないんだろう。疲労は日に日に増すばかりでした。」
その後1年2か月働きましたが、悩んだ結果、職場を辞めることを決意した中山さん。辞めて最初に思ったことは、もっと園児にしてあげられることがあったんじゃないかという後悔でした。子どもの成長や笑顔を間近でみられるやりがいのあるお仕事だからこそ、今度は絶対子どものために頑張る。その想いを胸に転職活動をし、2か月後には現在の職場で保育士として新たに働き始めました。
「今はやりたいことができていてとても楽しいです。教室に飾り付けてある制作物の担当も任せてもらえています。何かアイデアを思いついたら、まずは先輩に相談してアドバイスをもらっているんですけど、その先輩がとても親切で。もっと役に立ちたいなって思えて頑張れるんです。私もクラスをつくる一員だからこそ、やりがいをもって働いています。」
前の職場で辛い思いをした。でもその経験があったからこそメンタルが鍛えられたと中山さんは話します。好きな仕事をしているから、無駄なことなんて何一つなかった。そうポジティブにとらえます。
すべては子どもの笑顔のために 私のポリシーを体現する生き方
何よりも子どもと触れ合うことが好きな中山さんですが、仕事において大切にしているポリシーがあります。それは『子どもを第一に考えること』。
「たとえ同じ園児たちが同じ活動をしていたとしても、ひとりひとりの行動は違います。『じっとして待つ』と先生が指示をしたとしてもそれができない子もいるし、最初はできたけど、だんだん飽きて別のことを始めてしまう子もいる。それを知っているからこそ子どもたちの個性を大切にしたいんですよね。
どんな行動をとるか予想できないので毎日とても忙しいですが、子どもたちの笑顔が私にとってのやりがいに繋がっているので、『たから先生!』と呼ばれたらすぐさま飛んでいきますよ。」と微笑みました。
初心を忘れず 保育士として輝き続ける
保育士という仕事に誇りをもって働く中山さんですが、この春結婚という大きな転機を迎えます。結婚してもしばらくは保育士として働き続けるそうで、今の生活が落ち着いたら自分の子どもを育てたいと話します。「子どもができると、今のような正職員として働くことは難しくなるかもしれません。でも雇用形態を変えながらもずっと子どもを笑顔にできるプレイヤーとして活躍し続けたいです。」
自分が新人の時に人間関係で大変な目にあった。今は尊敬できる先輩と働けているからこそ、後輩の気持ちが分かってあげられる保育士さんになりたいと中山さんは考えます。「新人は分からないことが分からないからこそ、自分が引き出してあげる。そうすればきっと、心に余裕ができて仕事が楽しくなると思うんです。」 初心を常に忘れずに、好きなことで輝き続ける。そんな彼女はまぎれもなく『人を幸せにする』キャリアウーマンでした。
(茨女レポーター:外間 花怜)