2020年8月に創刊された「茨城SKY・神戸SKY」は、スカイマーク株式会社のタイアップのもと制作された特別号です。茨城空港から直行便が出ている神戸にフォーカスし、それぞれの街や人の魅力を掘り下げました。
また2020年の3月は茨城空港開港10周年という節目の年であり、これからの発展に目が離せません。そこで今回は特別企画と題し、スカイマーク株式会社取締役会長・佐山展生氏と茨女編集長・川井真裕美の対談を実施いたしました。
佐山さんの価値観や経験、そしてスカイマークに対する思いは、みなさんの夢を叶えるヒントになるかもしれません。ぜひご覧ください。
■茨城とスカイマークの歩み
川井:2020年は、茨城空港が2010年3月11日に開港してから10周年でした。2010年4月にスカイマーク 「茨城‐神戸線」が就航しました。改めて、これまでを振り返るとどのようなお気持ちでしょうか。
佐山:私がスカイマーク会長に就任したのは2015年9月29日です。
2015年1月28日に民事再生の申請をした当時スカイマークは経営危機に陥っていたので、まずは社員を守るために、現場を訪れては直接民事再生に関する説明を行っていました。このような状況だったため、実は茨城空港は閉鎖することも視野に入れていたんですよね。
しかし県民のみなさまの協力もあり、今では今後もっとも力を入れたい空港の一つになっています。今はまだ国内線しかありませんが、いずれはコードシェア含め国際線も増やそうと思っていて、茨城空港もその候補地の一つなんですよ。
川井:そんな過去があったんですね。ちなみに佐山さんはプライベートなどでは茨城県を訪れたことはございますか?
佐山:ゴルフが趣味なので、自宅から車で約1時間半で到着する大洗のゴルフ場によく足を運んでいました。
もう10年以上前の話ですけど、多い時は年に20回は行きましたね。
川井:20回も!それはすごい回数ですね。
佐山:それとゴルフをしに茨城へ行くときは、冬場はセットでアンコウ鍋のお店などにも行くようにしていました。毎回行く店を変えているんですけど、どれも味が違って美味しかったですね。
ちなみにおすすめは「たけちゃん」というお店でね、ここはいつ行っても舌鼓を打ちますが、他にも美味しいお店がたくさんあります。
川井:ちなみに茨城の女性に関しては、何か印象など持ちましたか。
佐山:これもゴルフの話になりますが、キャディさんの訛りが柔らかくて親しみやすいですね。
川井:茨城弁ですね!普段は怒りっぽいとか早口とか言われることがあるので、京都出身の佐山さんにそうおっしゃっていただけるとなんだか嬉しいです。
■勝負に勝つために、気持ちで負けない
川井:「茨女」で取材を続けていると、誰しもターニングポイントとなる経験を持っていると感じます。佐山さんはどのような経験が今の仕事に活きていると思いますか。
佐山:間違いなく野球ですね。一応中高一貫の進学校に所属していたので、通常高校3年生になると受験勉強に集中すると思うのですが、私の場合高校3年の夏の甲子園予選が終わるまで野球をやっていました。
大学受験自体は「やればできる、やらなかったらできない」だけですが、野球が終わった後もなかなかやる気にならず、11月くらいから誰よりも勉強したらギリギリなんとかなりました。そのくらい野球に費やした時間は今の人生に大きく影響しているんです。
川井:学生時代から夢中になれるものと出会えるって少し羨ましいですね。ちなみに野球で得た学びの中で一番自身に影響を与えた出来事はありますか。
佐山:3回線で優勝校筆頭の強豪校と対戦したときです。強豪校は見ただけで強い。そんな学校で、能力の差は明白。しかし、そこに2対0で勝ったんです。人間の能力の差よりも気持ちが大切なんだと思い知らされましたね。
川井:佐山さんは今までビジネスでたくさんの実績をつくられたかと思いますが、気持ちで負けてこなかった、というのが大きいのかもしれませんね。しかし結果が全てのビジネスの世界は、プレッシャーもあったりしませんか。
佐山:もちろんありますが、経営も野球と同じく勝負です。だから高い壁でも挑戦することが大切です。
野球もビジネスも一緒で、どんなにラッキーな勝ち方でも勝ったら嬉しいし、負けたら悔しい。とにかく結果を出すために何ができるか?を考えることが最優先。後から理屈はいくらでも分析できますからね。経営は結果が全てです。
■誰もやらない地道な挑戦。だからこそ成せる1位
川井:スカイマークは2020年の7月で定時運航率が3年連続1位、また2020年11月に新幹線と航空会社の長距離国内交通部門の顧客満足度で日本一になりましたね。この実績を得るためにどのような努力をしてきたのでしょうか。
佐山:シンプルにいうと「他社がやらないことを徹底的にやる」。これに尽きると思います。
定時運航率に関しては、毎朝、全国の空港支店の前日の定時運航率をみんなに報告し、毎週、遅延した便があればその原因究明と対策について議論します。また、毎月、定時性向上委員会で、関係各部門が集まって、会社としての取組みについて議論しています。
そして顧客満足では、2018年9月から搭乗券にQRコードを付け、アンケートが入力できるような仕組みに変更し、毎日みなさんの貴重なご意見を頂戴し、日々改善してきました。
いずれの施策も地道ではありますが、着実な改善が実を結んだんだと思います。またこれらの結果は社員が一致団結しないと決してできないことです。
川井:QRコードのアンケートを書いていただいた方には商品も当たりますよね!私もやりましたし、キットカットが頂けて、お得感があったんですよね。あまり他の航空会社では見ない取り組みでしたが、やはり独自性を意識されていたんですね。
佐山:トップ企業の真似をすると、頑張っても2位止まりなんですよ。
トップを狙いたいなら「誰もやらないことに挑戦する」ことが大切なんです。あと実現性の点で言うと、経営陣で決めたことを社員のみなさんに伝え続けることも重要ですね。
ちなみに川井さん、突然ですが富士山を登頂できる人ってどんな人だと思いますか。
川井:なんでしょう・・・体力がある人とか?
佐山:それも大切ですね。でも一番は自宅を出るときに「富士山を登頂する」という明確な目標を持った人だけなんです。観光名所は足を伸ばしてふらっと立ち寄れるかもしれないけど、富士山に登頂する人は、服装や装備、ルートや所要時間も予め考えて、達成できるように事前に計画し、準備しています。
これは会社も同じ。1位を実現するためには、社員全員で1位を目指さないと達成できません。いかに全社員が当事者意識を持てるかということが重要なんです。
川井:なるほど、腑に落ちました。でも社員の意識づけって実は一番難しいと思うのですが、どんな方法をとっているのですか。
佐山:大きく分けて3つあります。
1つ目は毎週「さやま便り」を発信し、私がいつも何を思い、何をしているのかを知ってもらう。
2つ目は今こそ開催できないものの、社員の飲み会にはできるだけ足を運び、現場の意見を聞いて必要があれば実行に移す。
3つ目は社内の評価制度に360度評価を取り入れることで、社員に経営陣や上司を評価してもらうようにしました。
これは次の目標、社員満足度1位を目指すための施策でもあるのですが、どこの会社も会社に不満を持たない社員っていないと思うんですよね。会社への不満の中身は日常業務の毎日のささいなやりづらさだったり、それを上司に言っても変えてもらえない不信感だったりが多いものです。
こういった要望を取りこぼさないように、経営陣が社員の意見を聞く耳を持ち、すぐに改善していくことがその近道だと思っています。
■お客様へのメッセージ
川井:本日はたくさんのお話をありがとうございました。最後になりますが、茨城空港を利用するお客様に向けて一言お願いいたします。
佐山:茨城⇔神戸経由を利用いただいた場合、その乗り継ぎで、宮古島(下地島)や沖縄など遠くにも旅行へ行けるのですが、まだまだ知られていないのが現状です。神戸を経由するだけでもバリエーションは広がるので、まずはそれを知ってほしいです。
もちろん、需要さえあれば直行便を増やすことも視野に入れられるので、まずは茨城空港へ足を運んでいただけると嬉しいです。
川井:今後の茨城空港の発展にも期待が高まりますね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材:2020年11月13日
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