岡野美咲さん 29歳
Profile
河内町出身。茨城県立取手第一高等学校卒業後、アパレル業界で働く。
2019年転職を機に、株式会社トキタに入社。現在は営業や事務、養殖に関わる業務全般に携わっている。
きっかけは「面白そう」から始まった
妹がとにかく心配だったと岡野さんは言います。
「妹はよく災害に巻き込まれていました。飛行機が直前でキャンセルになったり(笑)。東日本大震災の時も東京に出かけていて茨城に帰ってこれなかったり…そんな妹が心配で妹の大学入学ともに千葉へ引っ越しアパレル店員として4年間働きました。」大学に通っていた妹も就職し、河内町に帰ってきた岡野さん。「これから何をやろうか」と模索していた中、叔父と叔母が河内町の町おこしの一環として養殖業を始めたと知り、最初は『なんか面白そうだな』と軽い気持ちだったそう。
「いざ実際に始めてみたら、あれもこれも全てが楽しくて気づけば、見事にはまってしまいました(笑)。
今までとはまったく違う職業なので日々勉強をしながらですが楽しんで仕事をしてます。」
懐かしの場所が私の職場に
野さんが働く養殖場は廃校になった河内町長竿小学校を利用しています。岡野さんはその卒業生でもあります。
「やはり母校が廃校になってしまうと聞いたときは、仕方のないことですが、悲しいような、寂しい気持ちがありました。
ですがまさか母校で養殖を通じて働くなんて全く想像していませんでした。今はとても嬉しく思っています。また、廃校になってしまった学校をこのようなかたちで利用することはとても素晴らしいことだと感じております。学校は建物自体がしっかりしているので取り壊しや何も使われていないのはすごくもったいないことだと思います。そして、いまだに当時の小学校のにおいが残っているような気がして懐かしい気持ちになります(笑)。」
愛情をたっぷり注ぎ安全・健康に育てる
養殖業をする中で楽しい半面、一つだけ心が切なくなることがあると岡野さんは言います。
「たくさんの魚を同時に育てているので、魚に元気がなかったり、死んでしまったりすることがあります。
そんなときは、やりきれない気持ちでいっぱいになりますが、何が原因だったのか従業員みんなで話し合い、次に活かせるようにしています。」「またチョウザメの飼育と同時に※アクアポニックスを取り入れ、野菜の栽培もしています。季節にもよりますが、ブロッコリースプラウトやサニーレタスなどを育てています。野菜作りにも毎度苦戦しながら、試行錯誤を重ねてます。今の時期は空芯菜の収穫が盛んで、それがまた美味しくて…(笑)。
今は特にコロナウイルスの影響で皆さんお家にいる時間が増えているのでアクアポニックスで採れた野菜が売れているんです。」
※アクアポニックスとは、水産養殖の「Aquaculture」と、水耕栽培の「Hydroponics」からなる造語で、魚と植物を同じシステムで育てる新しい農業です。
知ってほしい食の楽しみ、喜び
岡野さんは勤めて2年目に突入。
人生のターニングポイントはまさに、今の会社に入社したことだったと岡野さんは言います。
「これまでも仕事には全力で取り組んできたつもりでしたが、この仕事はまだ始まったばかりですので道が決まっていない状態。自分でいろいろ考えたり、試したり、協力しながら試行錯誤をして日々挑戦しています。こんな環境で働けているのは周りの協力があって成り立っています。全てが新しく、『未来しかない仕事』だと感じています。」
最後にこれからの活動、プライベートでの目標をお聞きしました。
「これから養殖・アクアポニックス共に事業拡大に力を入れていくのが目標です。またチョウザメはキャビアだけでなく身もすごく美味しいことを知っていただくために、食べることの楽しみや喜びを感じていただけるような取り組みをしていきたいです。お店だけでなく、食卓でも気軽にチョウザメやフグが食べれるようになればいいな…。プライベートでは結婚をして2人の子供の母親になれたら大満足!(笑)」
地元愛が溢れ、芯が強い岡野さんの養殖業への熱い思いを聞いて、いつの間にか心惹かれていた自分がいました。
(茨女レポーター:石川 蘭)