宮地 綾希子さん 34歳
Profile
ひたちなか市出身。私立水戸啓明高等学校、武蔵野大学人間関係学部住環境専攻卒業。ハウスメーカーに就職後、デザイン職に応募。しかしその後、実はデザイン会社ではなく写真館だったということが判明し、フォトグラファーとして6年勤務。その後、水戸市内の設計事務所に転職。一級建築士の資格を取得し、現在は設計士として設計やデザインの仕事をこなす。プライベートではゲストハウスの運営に携わるなど、街づくりのお手伝いをしている。
先生の意見、親の意見、友達の意見。毎日いろいろな人の意見を聞きながら「将来どうしよう」なんて考えている私たちは、なんとなく「思い描いている将来までの王道ルート」を考えてしまいます。
水戸市内にて設計やデザインの仕事をこなす宮地さんに、これまでのキャリアを一通り聞いてみると「文系でも設計らしいことに携われるルートはないかなと思って、心理学科に進むことを考えたこともある。一級建築士になるまでに出産、離婚も経験した。」などと、いわゆる王道ルートな人生は歩んでこなかったことが伺えます。
「まわり道をした方が、同じ経験をしていても色々なものが見てきた自信があります。最短距離ではないことが自信になっているし、人生楽しんでる実感がありますね」と笑う宮地さんに、これからの進路を考える上でのヒントを伺ってみました。
「もしかしたらこのルートで行けるかも」を考える
経歴(上)をみると、最近、フォトグラファーから建築系へ転身、また一級建築士の資格を取得された宮地さん。かなり異業種からの転職ですが…どのような経緯があったのでしょうか?
「小学生の頃から建築士になるのが夢でした。前職でやっていたフォトグラファーやデザインの業務もやりがいがあったのですが、30歳になったときに『小さい頃からの夢、このまま実現させなくていいのかな』と思って。これ以上歳をとったら絶対やらない…挑戦してみるなら今しかないなと。それでダメ元で設計事務所に履歴書を送ってみました。一級建築士になる夢を叶えたのはまわりと比べると遅かったけど、今思えば過去の経験ひとつひとつが今の仕事に役立っているなと感じます。」
カメラマンになったり、設計士になったり…あちこちしたキャリアを歩まれている宮地さん。高校生の時から、回り道を考えることは常に意識していたそう。
『もしかしたらこのルートで行けるかも』を考えて受験時代を過ごしていました。
化学の先生に「授業に来るな」と言われるほど、理系の勉強が苦手な生徒だったのですが(笑)悲しいことに建築系って理系の職業なんですよね…。
そこで文系だからと諦めるのではなく『文系でも行けて設計らしいことに携われそうなルートはないだろうか』と考え、心理学科に希望を出してみたりしていました。
そこからどうやって建築系につながるのかは分からないけど『もしかしたらこのルートで行けるかも』くらいに考えていたかもしれません。」
最短距離を探さないことが人生をおもしろくする
「これになりたいからこの学科」じゃなくて、「もしかしたらこのルートで行けるかも」という気楽さが大切なのかもしれない。宮地さんの話を聞きながら、どこか生き急いでしまっている自分に気づきました。
「自分の進路に悩んでいる人って、きっと最短距離を探そうとして悩んでいるんじゃないかな。でも理系ではない私の場合、最初から最短距離を絶たれていたので(笑)
今思うと、ルートは1つじゃないし、人生にベストなタイミングも別に無いなあと感じるので、結果的にそのスタンスで良かったなと感じます。」と笑う宮地さん。
「ルートは1つじゃないし、人生にベストなタイミングは無い」と考えるようになった転機はいつ頃だったのでしょうか?
「一級建築士の資格を取った時です。一級建築士の資格は最短で24歳で取得できるのですが、それに比べると私はだいぶ遅いほうです。でも、私より年上でも資格取得に向けて頑張っている人が周りにたくさんいて。それを見て以来『ルートは1つじゃないし、人生にベストなタイミングも無いんだなあ』と考えるようになりました。」
もどかしさや挫折と葛藤の日々
「なりたい姿が明確だと最短距離でそれを目指そうとしてしまいがち。だけど、若いうちに資格を取れたからといって、その後の人生が良くなるかというと、必ずしもそうとは限りません。
私は一級建築士になるまでに出産したし、離婚もしました。そういったまわり道をした方が、同じ経験をしていても色々なものを見てきた自信があります。最短距離でいっていないことが自信になっているし、人生楽しめてる実感がありますね。
『こうしたほうがいい』『こうすれば憧れの職業に近づく』って大人は教えてくれるけど、それが正解だとは限らない。今進路に悩んでいる10代の方でも、逆に30歳になってから正解にたどり着くかもしれませんよ。」
最後に、宮地さんが思う「茨城のいいところ」は何かを伺ってみました。
「茨城弁で一番好きな言葉は『しゃあんめ』なんですよね。諦めの精神(笑)
何かに挑戦して、うまくいかなかったらしゃあんめ、もう一回やればいいじゃん、って。茨城県民の精神ってそんな感じなのかな?(笑)だからか、私の周りには挑戦を恐れている人があまりいないなぁと感じますね。
失敗したら「しゃあんめ」で乗り切る(笑)一度きりの人生、回り道が多ければ多いほど、オリジナリティやネタが増えてとても楽しいですよ。」
(茨女レポーター:檜山 加奈)