末石 真弓(なる)さん
Profile
牛久市出身。 高校より地元を離れ、福岡県中村学園女子高校を卒業後、群馬大学教育学部に進学。卒業後、教員として群馬県の小学校で働いたのちに絵本作家を志す。現在は地元牛久市に戻り、ワークショップなどのアーティスト活動をしながら絵本作家を目指して制作に取り組んでいる。
ーQ.現在の活動について教えてください。
ーA.こども向け絵本作家を目指しながら、ワークショップを中心としたアーティスト活動をしています。
ワークショップは主にこどもたち向けで、今年まで所属していた『地域おこし協力隊』の活動の一環としての開催がはじまりです。『協力隊』として活動していた当時から、地域の伝統的な素材を使ってこどもたちに作品作ってもらうなど「郷育」をテーマにしたワークショップを開催しています。
ーQ.なぜ教師から絵本作家を目指したのですか?
ーA.夢・やりたいことを一つずつ全力でやっていたらここにいました。
幼稚園生のときから憧れていた「先生」として過ごす毎日はとても楽しかったです。ただ、ゆくゆくは「好きなことで、将来家庭を持ったときに『おかえり』が言える職業が良いな」とぼんやり考えていました。小さい頃、母の「おかえり」が嬉しかったので…。実際、先生というお仕事を経験してみて、それはなかなか難しいのかも、と思い始めたころ、算数の教材で紙芝居の制作を頼まれたんです。
それまで人前で作品を披露することなくひっそりと描いていたので、最初は戸惑いもありました。ですが、こどもたちのためになるのなら、と作りました。完成した紙芝居を授業で披露するとこどもたちが私の想像を超える反応をしてくれて正直びっくりしました。それと同時に「これだ!」と思ったんです。
こどもが好きで、こどもに関われるお仕事をしたい。だから先生になりたい、と思っていましたが、こどもの成長に寄り添えるお仕事は他にもあることをこども達が教えてくれた瞬間でした。
先生という第一の夢で出会ったこども達が、絵本作家という第二の夢を与えてくれました。
ーQ.第二の夢を見つけたことをきっかけに茨城にUターンした理由は何ですか?
ーA.小学校から大好きなバスケを思いっきりやりたくて全国大会常連の福岡の高校へ。高校を卒業した後は好きなバスケができて、夢である先生になるための勉強ができる群馬大学に進学しました。
振り返れば今まですっと「やりたい」を追って色んな所を飛び回っていました。悩んだ時や迷った時、振り返るといつもそこには変わらない家族や友達がいてくれました。「おかえり」って言ってくれるふるさとがずっとあったから、ここまで飛び回れた気がするんです。第二の夢を見つけて、このタイミングかな?と感じたので、これを期に地元である牛久に戻ってきました。
ーQ.「郷育」をテーマにしたワークショップを通して、地域を愛する心を育てる教育をしているのはなぜですか?
ーA.こどもたちが大人になってフッと子どもの頃を思い出し、みんなで作ったあの日が温かい思い出の一つになればと思うんです。
きっとその温かい思い出達は郷土愛をゆっくり育て、ふるさとを思う「郷育」になると思います。大人になって迷ったり悩んだりしたとき、そんな思い出たちが背中を押してくれると思います。そして私自身がそうだったように、心が帰る場所が地元であればなお良いな、と思うのです。
自分の地域を大切に思うためにはまず地域のことを知ることだと考えたので、私らしいアプローチとして地域の昔話をモチーフにした紙芝居を行ったり、地域のものを使った作品制作などをワークショップのテーマにしています。
ーQ.目標にしていることはありますか?
ーA.小さな頃から心のすみっこにひっそり住んでいて、たまに思い出す。そんな絵本を作っていきたいです。そして作品を通してたくさんの人と出逢っていけたらと思っています。
《 茨女レポーターVOICE 》
お話のひとつ一つに自分の軸がある末石さん。末石さんのように純粋に自分のやりたいことを全力で追いかけるこどものような姿勢は、軸のある大人になる上で大事な事なのではないでしょうか。進路や仕事で悩む20〜30代の女性に、そんなこどもらしさってすごく大切なんじゃないか…末石さんのこどものように元気な身振りを見て、大切なことに気づけた取材でした。(茨女レポーター:檜山 加奈)